「散歩のたびに他の犬に吠えて、リードを引っ張られて腕が痛い」「知らない人を見るたびに吠えて、散歩が憂鬱になってきた」「車や自転車に向かって突進しそうになる」こんなお悩みを抱えている飼い主さんは非常に多いです。
犬が散歩中に吠えるのには、必ず理由があります。その理由を正しく理解せずに「やめさせよう」とすると、かえって悪化することがほとんどです。この記事では、散歩中の吠えの原因から、今日から実践できる具体的なトレーニング手順、犬種・年齢別の対処ポイント、よくある失敗とその対策、おすすめグッズまで詳しく解説します。
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📋 目次
- 犬が散歩中に吠える3つの主な原因
- 吠えの「タイプ」を見極める方法
- 絶対にやってはいけないNG対処法5選
- 散歩中の吠えを直す4ステップトレーニング
- 吠えやすい対象別・具体的な対処法
- 犬種・年齢別の対処ポイント
- トレーニングに役立つグッズ3選
- よくある失敗と対策
- 改善の目安期間とよくある質問(FAQ)
- 改善しない場合はプロに相談しよう
犬が散歩中に吠える3つの主な原因
散歩中の吠えを根本から改善するには、「なぜ吠えているのか」を正しく理解することが最初のステップです。原因を誤解したまま対策をとると、逆効果になることがあります。

① 恐怖・不安(防衛的な吠え)
散歩中の吠えで最も多い原因が「怖いから吠える」という防衛反応です。犬の行動科学では、攻撃的に見える吠えの多くが実は「怖い・不安」という感情から来ていることが明らかになっています。
子犬の社会化期(生後3〜12週)に十分な経験を積めなかった犬は、見慣れないものに対して「吠えて追い払おう」とする行動をとりがちです。吠えて相手が離れていく経験を繰り返すことで、「吠えると怖いものが消える」と学習し、吠え癖がどんどん強化されていきます。
見分け方:体を低くする・しっぽを下げている・後ずさりしながら吠える・吠えた後に逃げようとする。これらは恐怖からの吠えのサインです。
② テリトリー意識・警戒心(防衛的な吠え)
縄張り意識が強い犬は、自分の散歩ルートに近づく犬や人を「侵入者」とみなして吠えることがあります。特に去勢していないオスや、番犬気質の犬種(秋田犬、柴犬、シェパード系など)に多い傾向があります。
この場合、見知らぬ犬が去っていくと「自分が吠えて追い払った」と犬が認識するため、散歩を繰り返すたびに吠え癖が強化されていきます。毎日同じルートを散歩することで縄張り意識が強まる場合もあります。
見分け方:前に出ながら吠える・しっぽが高い位置にある・毛が逆立っている・低い唸り声を伴う。
③ フラストレーション(興奮の吠え)
「あの犬と遊びたい!」「あそこに行きたい!」という欲求がリードで制限されることへのフラストレーションから吠えるケースもあります。この場合は攻撃的な意図はなく、むしろ興奮・ワクワクしている状態です。
このタイプは子犬や若い犬に多く、社会化の機会が少なかった犬が他の犬を見て興奮してしまうパターンです。「吠えたら近づけてもらえた」という経験があると、さらに強化されます。
見分け方:しっぽを振りながら吠える・前足を踏み鳴らす・興奮して跳び上がる・吠えながらリードを引っ張る。
吠えの「タイプ」を見極める方法
対処法を選ぶ前に、上の3タイプのどれに近いかを把握することが重要です。同じ「散歩中に吠える」でも、恐怖からの吠えとフラストレーションからの吠えでは対処法が異なります。
| チェック項目 | 恐怖・不安 | テリトリー | フラストレーション |
|---|---|---|---|
| しっぽの位置 | 下・股の間 | 高い・立っている | 高い・振っている |
| 体の姿勢 | 低い・後ずさり | 前のめり | 前のめり・跳ねる |
| 吠えた後 | 逃げようとする | 相手が去ると落ち着く | 近づこうとする |
| 毛の逆立ち | あることも | 多い | 少ない |
❌ やってはいけないNG行動
- リードを強く引っ張って止める → 首への不快感が「あの犬=嫌なこと」として記憶され、条件反射的に吠えが悪化します。また首・気管への物理的なダメージも心配です
- 「ダメ!」「やめなさい!」と怒鳴る → 飼い主の興奮・緊張がリードを通じて犬に伝わり、さらに吠えをエスカレートさせます。犬は「飼い主も興奮している=やっぱり怖い!」と受け取ります
- 吠えている犬から急いで逃げる → 「吠えると逃げてもらえる」と学習し、防衛的な吠えがさらに強化されます
- 「大丈夫だよ〜」と宥める・撫でる → 吠えているその行動を褒めていることになり、恐怖心・興奮がさらに強化されます
- 無理やり近づけて「慣れさせる」 → 閾値を超えた状態での暴露はトラウマを固定させます。慣れるどころか悪化するリスクが高いです
散歩中の吠えを直す4ステップトレーニング
以下の4ステップは、犬の行動科学に基づいた「脱感作+カウンターコンディショニング」という手法です。時間はかかりますが、最も確実に効果が出る方法です。

ステップ1:「吠えない距離」(閾値の外側)を見つける
まず最初にやることは、犬が対象(他の犬・人・車など)を見ても吠えない距離を把握することです。この距離を「閾値の外側」と呼びます。
多くの場合、他の犬から10〜20m以上離れると吠えなくなります。この距離がトレーニングのスタートラインです。「まず近づけてみよう」という判断が失敗の最大の原因です。最初は遠すぎるくらいの距離から始めましょう。
閾値の見つけ方:対象が視界に入ってから、犬が体を硬直させたり、リードが張り始めたりする前の距離を覚えておきます。その距離より1〜2m遠いところがスタート地点です。
ステップ2:「こっちを見て」の合図を室内で先に教える
外でのトレーニングを始める前に、室内で「飼い主の顔を見る」という行動を条件づけておきます。これが外でのトレーニングの基盤になります。
- おやつを手に持ち、犬の鼻先に近づけてから自分の顔の横に移動させる
- 犬が顔を見た瞬間に「いいこ!」と言っておやつを与える
- これを1日3セット×5分ずつ繰り返す
- 慣れてきたら名前を呼んで振り向いたらおやつ、という練習に移行する
1〜2週間で「飼い主の顔を見ると良いことがある」という条件づけが完成します。次のステップで使うので、外に出る前に必ずこの練習を積み重ねておきましょう。
💡 練習の時間帯
犬が落ち着いている食前の時間帯(散歩後1時間以上経ってから)が最も集中しやすいです。疲れていたり、食後すぐの時間帯は避けましょう。
ステップ3:閾値の外側から脱感作をスタート
ステップ1で見つけた「吠えない距離」の場所で、対象が視界に入った瞬間におやつを見せて犬の注意を引きます。
具体的な手順:
- 対象(犬や人)が視界に入る → 即座におやつを犬の鼻先に近づける
- 犬が飼い主の顔を見たら「いいこ!」おやつを与える
- 対象が通り過ぎたら普通に歩く(おやつなし)
- これを1回の散歩で5〜10回繰り返す
この練習で犬は「あの犬が見える → 飼い主を見るとおやつがもらえる」という新しい条件づけを学びます。「吠えるべき対象」から「おやつがもらえる予告サイン」に意味が変わっていくのが脱感作の仕組みです。
重要:おやつは「見えた瞬間」に出すこと。吠えてからでは遅く、「吠えるとおやつがもらえる」になってしまいます。対象が視界に入ると同時に動き出すことが成功の鍵です。
ステップ4:1〜2mずつ距離を縮める
ステップ3を1〜2週間継続して成功体験が積み重なったら、少しだけ対象に近づいた距離で同じ練習をします。
距離を縮めるペースの目安:
- 同じ距離で3日連続・1日10回以上成功したら次のステップへ
- 吠えてしまったら「近づきすぎた」サイン → 前の距離に戻す
- 1回の練習で距離を縮めるのは1〜2mまで
- 1ヶ月で5〜10m縮められれば十分な進歩
焦りは禁物です。1〜2mずつの小さな前進を積み重ねることが最短ルートです。「今日は近づけた!」という小さな成功を喜びながら継続しましょう。
吠えやすい対象別・具体的な対処法

他の犬に吠える場合
犬同士の問題は社会化不足が根本原因の場合が多く、最も時間がかかるケースです。以下の手順を根気よく続けましょう。
- まずは「同じ方向に離れて並んで歩く」平行歩きから慣れさせる。直接対面させるのは平行歩きが安定してから
- 相性の良い穏やかな犬(知人の犬など)から少しずつ社会化の機会を増やす
- ドッグランへいきなり連れて行くのは、吠え癖が改善してから
- 散歩ルートを変えて、毎回同じ犬に吠える習慣を崩す
- 他の犬が近づく前に「スワレ」させ、座っていられたら盛大に褒める
車・自転車に吠える場合
動くものへの反応は「捕食本能」や「驚き」が原因のことが多いです。生後3ヶ月以内に車・自転車に慣れていない犬に多い傾向があります。
- まず車通りがほぼない道から練習を始める
- 車が視界に入った瞬間(吠える前!)におやつを見せる
- 「車が来た=おやつがもらえる」の条件づけを根気よく積み重ねる
- 成功したら少しずつ交通量の多い場所に移行する
- 自転車が来そうな時は事前に道路から離れて距離をとる
知らない人に吠える場合
飼い主の態度が犬に大きく影響します。飼い主が緊張すると、リードを通じてその感情が犬に伝わります。
- 飼い主自身がリラックスした態度を意識的に保つ
- 知人に協力してもらい「人が近づく→おやつ」の練習を繰り返す
- 吠えなかった瞬間を見逃さず即座に褒める
- 吠えている時は無視し、落ち着いてから声をかける
- 帽子・サングラス・傘・ベビーカーなど「見慣れない見た目」への脱感作も並行して行う
犬種・年齢別の対処ポイント
犬種の特性を理解することで、より効率的なトレーニングが可能になります。
| 犬種・タイプ | 吠えやすい傾向 | 対処のポイント |
|---|---|---|
| 柴犬・秋田犬 | 警戒心・テリトリー意識が強い | 強制せず信頼関係を最優先に。時間をかけた脱感作が必要 |
| トイプードル・チワワ | 不安・恐怖からの吠えが多い | 安心感を与えることを最優先。急な接触は避ける |
| ボーダーコリー・シェパード | 動くものへの反応が強い | 運動量を増やし、「注目」のコマンドで気を引く練習を |
| ビーグル・ダックス | 音・匂いへの反応が強い | 音の脱感作練習を別途行う。おやつの価値を高めに |
| 子犬(〜1歳) | 社会化が進んでいれば軽度 | 今すぐ社会化を増やすのが最優先。この時期が最も改善しやすい |
| 成犬(1〜7歳) | 習慣化した吠え | 1〜3ヶ月の根気強い継続が必要。必ず改善できる |
| 老犬(7歳〜) | 変化への対応が難しくなる | 無理な練習より環境管理を優先。獣医師への相談も検討 |
トレーニングに役立つグッズ3選
適切な道具があるとトレーニング効率が大きく上がります。必須の3つを紹介します。
① ロングリード(5〜10m)
脱感作練習では対象との距離を十分にとる必要があります。通常のリード(1〜2m)では距離が近すぎて練習にならないことが多いです。5m以上のロングリードがあると、公園など広い場所で安全に距離をとりながら練習できます。
選び方:素材はナイロンより絡みにくいラインタイプが使いやすいです。太さは犬の体重に合わせて選びましょう。大型犬には10m以上を推奨します。
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② クリッカー
「吠えなかった0.5秒」を正確にマークするために使います。声で褒めるよりも一貫性があり、タイミングのズレが少ないのが特徴です。クリッカーを使うと練習効率が大幅に上がることが多いです。
使い方:まずクリック+おやつを100回繰り返して「クリック音=良いことが起きる」を条件づけてから、実際のトレーニングに使いましょう。
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③ トリーツポーチ(おやつ入れ)
腰に装着するポーチ型のおやつ入れです。対象を発見してからおやつを出すまでのタイミングが命のトレーニングでは、ポケットに入れていると出すのに時間がかかりすぎます。トリーツポーチがあれば0.5秒でおやつを取り出せます。
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よくある失敗と対策
失敗① 興奮している状態で練習を始める
散歩に出た直後や他の刺激で興奮している状態では、おやつへの反応が悪く練習になりません。散歩の途中、犬が落ち着いた状態になってから練習を始めましょう。
失敗② 1回の練習を長くやりすぎる
1回の練習が10分を超えると犬の集中力が切れ、失敗率が上がります。5〜8分×複数回の方が効果的です。「もう少しできそう」というところで終わるのが理想です。
失敗③ おやつの価値が低い
普通のドッグフードでは価値が低く、刺激の強い場面では注意を引けません。鶏のササミ・ジャーキー・チーズなど、特においしいものを「練習専用」として取っておきましょう。
失敗④ 家族でルールがバラバラ
一人が「引っ張ったら止まる」を実践していても、別の人が「引っ張られても歩く」をやっていると、犬は「この人なら引っ張れば進む」と学習します。家族全員で同じ対応を徹底することが必須です。
改善の目安期間とよくある質問(FAQ)
| 重症度 | 目安の期間 | 特徴 |
|---|---|---|
| 軽度(たまに吠える) | 2〜4週間 | 特定の状況でのみ反応 |
| 中度(よく吠える) | 1〜2ヶ月 | 多くの犬・人に反応 |
| 重度(パニックレベル) | 2〜3ヶ月以上 | 専門家への相談も検討 |
Q:成犬になってからでも直りますか?
A:直ります。子犬期より時間はかかりますが、何歳からでも改善できます。長年の習慣を変えるため2〜3ヶ月以上の継続が必要なケースもありますが、諦めずに続ければ必ず変化が出ます。
Q:電気ショックや超音波の吠え防止グッズは効果がありますか?
A:即効性はありますが、根本原因(恐怖・不安)を解決しないため再発しやすく、恐怖心がさらに強化されることもあります。罰を使った方法は長期的に見て推奨されません。
Q:特定の犬種にだけ吠えます。原因は何ですか?
A:犬種による外見の違い(耳の形・体の大きさ・毛の色・歩き方など)に対して「見慣れないから怖い」という反応が起きている可能性が高いです。その犬種に特化した脱感作練習を行いましょう。
Q:散歩中の吠えは近所迷惑になりますか?
A:特に住宅地では他の方への配慮が必要です。練習期間中は早朝・夕方の犬が少ない時間帯を選ぶ、人通りの少ないルートから始めるなどの工夫をしましょう。
改善しない場合はプロに相談しよう
2〜3ヶ月以上継続しても改善が見られない場合、またはパニックレベルで吠える場合は、プロのトレーナーへの相談をおすすめします。
特に以下のケースは早めにプロへ相談しましょう。
- 吠えながら咬みつこうとする(攻撃性を伴う吠え)
- 特定のトリガーで完全にパニック状態になる
- 複数の対象(犬・人・車など)全てに激しく吠える
- 飼い主が近づくだけで吠える
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この記事について
複数の犬と暮らしてきた経験をもとに執筆しています。記事の内容は個人の飼育経験と各種専門書・研究をもとにまとめています。深刻な問題行動については獣医師・専門トレーナーへのご相談もご検討ください。
4 thoughts on “犬が散歩中に吠える原因と直し方【今日からできる改善ステップ】”