テラフォーマーズ、話を忘れたので整理する④
ANNEX1編 後半
前回のANNEX1中盤では、各班が分断されて別々の地獄に入る流れを整理した。第5班アドルフの悲劇、第1班の苦戦、第2班では燈とミッシェルの特別さが見えてきた。この時点では、まだ表向きは「人類 vs テラフォーマー」の構図で読めた。
でも、ここから話が変わる。
第4班の裏切り。これによってANNEX1編は、単なる火星サバイバルではなくなる。テラフォーマーという外の敵だけでなく、人類 vs 人類が本格的に入ってくる。このあたりから『テラフォーマーズ』はかなりややこしくなっていく。
ここから物語は「火星の戦い」から「利権の戦い」になる
ANNEX1計画の表向きの目的はA・Eウイルスのワクチン開発だが、それだけならここまでややこしくならない。問題は、A・Eウイルス、M.O.手術、テラフォーマーの研究、そして火星計画そのものに巨大な利権が絡んでいることだ。地球では各国首脳が火星計画を巡って駆け引きを始める。
つまり、火星で戦っている乗組員たちの背後には、地球の政治がある。小町たちから見れば目の前にテラフォーマーがいる。でも各国政府や組織から見れば、火星には金、技術、軍事利用、支配権がある。だから人間同士の裏切りが起きる。「火星でゴキブリと戦っているだけ」の話ではなくなっていく。
第4班の目的は、燈とミッシェルを手に入れること
第4班・中国アジア班。班長は劉翊武(リュウ・イーウー)。この班の立ち位置がここではっきりする。彼らは単にテラフォーマーと戦っているわけではない。狙いは、膝丸燈とミッシェル・K・デイヴスだ。
なぜか。ミッシェルはBUGS2艦長ドナテロの娘で、パラポネラの特性を遺伝的に受け継いでいる。燈はBUGS2時代の秋田奈々緒と張明明につながる存在で、M.O.手術前から普通の人間ではない。要するに、この2人はただの戦闘員ではなく、研究対象としても、軍事的にも、政治的にも価値が高すぎる。だから第4班は、テラフォーマーとの戦いよりも、この2人の確保を優先する。テラフォーマーはもちろん敵。でも、人間側にも燈とミッシェルを狙う敵がいる。この構図がANNEX1後半の中心になる。
第4班はランキングだけで見ると弱く見える
第4班が面白いのは、マーズ・ランキングだけ見るとそこまで強そうに見えないことだ。劉翊武44位、ボルジギーン49位、爆致嵐50位、ジェット61位、紅97位、西春麗99位。上位勢と比べると低い。
でも実際には、第4班はかなり厄介だ。理由はシンプルで、マーズ・ランキングは「火星環境下でのゴキブリ制圧能力」であって、人間同士の戦いのランキングではないから。第4班は対人戦、工作、毒、奇襲、特殊能力に強い班として見た方がわかりやすい。劉のヒョウモンダコ毒と拳法、紅の細菌系、爆致嵐の出芽能力、ジェットの衝撃波、西春麗の透明化と拳法。こうして見ると、ランキング以上に対人戦では危険な班だ。
第3班対第4班|アシモフと劉翊武の戦い
第4班の裏切りが表に出ることで大きな戦いになるのが、第3班対第4班だ。ロシア・北欧第3班の班長シルヴェスター・アシモフはマーズ・ランキング3位同率。対して劉翊武は44位。順位だけ見ればアシモフが圧倒的に強そうだ。
でも、この2人の戦いはそう単純ではない。劉は対人戦がうまい。ヒョウモンダコの毒、触腕、拳法、そして相手を崩す戦い方。アシモフは強いが、劉もランキング44位だから弱いというキャラではない。
しかもこの戦いはアシモフと劉だけで済まない。テラフォーマーも関係なく動いている。人間同士が争っている間も、テラフォーマーは関与してくる。三つ巴だ。この構図が重要で、ここからANNEX1編は一気に戦争っぽくなる。
テラフォーマーも沈黙しているわけではない
第4班の裏切りが目立つので忘れがちだが、この間もテラフォーマーは動いている。人間同士が争っているからといって、待ってくれるわけではない。むしろ、人間側の足並みが乱れたことでテラフォーマー側にとっては有利になる。人間は火星で、テラフォーマーと戦うだけでも大変なのに、そこで人間同士が争い始める。その間にテラフォーマーは進化し、状況に適応し、さらに脅威になっていく。第4班の裏切りは、人類全体で見れば自滅に近い。でも国や組織の利権を考えると、そうせざるを得ない。この矛盾がテラフォーマーズらしい。
第4班の禁断の最終兵器
第4班の怖さを象徴するのが、いわゆる禁断の最終兵器だ。備忘録として整理すると、第4班は通常のM.O.手術とは別方向の危険な能力や手段を使う、という理解でいい。特に紅(ホン)の存在は重要だ。マーズ・ランキング97位だが、細菌系能力の危険度はかなり高い。人間もテラフォーマーも危険にさらすタイプの能力で、単純な戦闘力ではなく環境そのものを壊すような怖さがある。
燈とミッシェルは追われる側になる
第4班の目的が燈とミッシェルだとわかると、この2人は完全に追われる側になる。ミッシェルは5位、燈は6位で、本来なら狩る側の戦闘員のはずだ。でもこのパートでは狙われる。しかも相手はテラフォーマーだけでなく人間。テラフォーマーなら「敵」としてわかりやすい。でも第4班は同じANNEX1の乗組員だ。本来なら味方のはずの相手が、燈とミッシェルを捕獲しようとする。このあたりからANNEX1編は読んでいて精神的にしんどくなってくる。
ミッシェルと弾丸蟻型テラフォーマー
9巻あたりで特に印象的なのが、ミッシェルと弾丸蟻型テラフォーマーの戦いだ。第4班に追われる燈とミッシェルは、弾丸蟻の特性を持つテラフォーマーと遭遇する。弾丸蟻、つまりパラポネラ。ミッシェルの父、ドナテロ・K・デイヴスの能力だ。BUGS2で死んだドナテロの力が、テラフォーマー側に奪われている。それにミッシェルが向き合う。
これ、単なる能力バトルじゃない。父の力、BUGS2の悲劇、テラフォーマーによる能力の利用、ミッシェルの怒りと覚悟。全部が重なる。ミッシェルにとっては、ただ強い敵と戦うのではなく、父の死と向き合う戦いでもある。BUGS2編をちゃんと覚えているかどうかで受け取り方がまったく変わる場面だ。
捕らわれる燈たちと、さらに悪化する状況
第4班の動きによって燈たちはどんどん追い詰められる。10巻では、囚われた燈たちを乗せた脱出機がテラフォーマーの大群に急襲される展開になる。第4班が燈たちを捕らえたのに、そこへテラフォーマーも襲ってくる。つまり状況は第4班にとってもコントロール不能になっていく。人間がどれだけ計画を立てても、火星では計画通りにならない。第4班は裏切りによって優位に立ったように見えたが、火星そのものがそれを許さない。この感じがすごくテラフォーマーズだ。
爆致嵐の「最悪の行動」
このパートで重要になるのが爆致嵐(バオ・ツーラン)だ。危機回避のためにかなり非情な選択をする。備忘録としては、爆致嵐は第4班の非情さと目的優先の姿勢を象徴する人物と覚えておくのがいい。第4班は味方を守るための班ではない。任務を達成するための班で、そのためなら切るものは切る。爆の行動を見ると、それがはっきりする。
第1班は通信を取り戻そうとする
一方で、第1班側も重要だ。マルコスたちは地下で電波塔のハッキングを狙う。目的は、第4班の裏切りを地球へ伝えること。第1班の戦いは「敵を倒す戦い」だけでなく、「情報を届ける戦い」でもある。第4班が裏切ったこと、燈とミッシェルが狙われていること、これを地球に伝えなければならない。
小町の役割がどんどん重くなる
このパートで改めて重くなるのが、小町小吉の立場だ。小町はBUGS2の生還者で、ANNEX1の艦長。本来なら全員を率いてテラフォーマーと戦わなければならない。でも実際には人間側の裏切りが起きる。火星の敵だけでなく、同じ船に乗ってきた人間とも戦わなければならない。BUGS2で人間側の裏も見ている小町だからこそ、こういう展開に対する怒りや責任感はかなり強いはずだ。第4班の裏切りは、燈やミッシェルだけでなく、小町にも大きく響いている。
地球側の政治も同時に動く
このパートのややこしさは、火星だけでなく地球側も動いているところだ。各国首脳が火星計画を巡って駆け引きをしている。誰が情報を握るのか、誰がA・EウイルスやM.O.手術の主導権を握るのか。火星の乗組員たちは命を懸けて戦っている。でも地球側ではそれを政治材料にしている。火星では仲間が死ぬ。地球では大人たちが利権を取り合う。この構図がかなりしんどい。
ANNEX1後半 登場人物まとめ
第4班の裏切りに関わる人物を中心に厚めにまとめる。
第4班|裏切りと目的達成の班
このパートの中心人物。対人戦がうまく、毒・触腕・拳法・指揮能力を持つ。アシモフとの戦いでもランキング差を感じさせない厄介さを見せる。ANNEX1後半をややこしくする中心。
死亡出芽能力で増えるという特殊能力を持つ。危機回避のために非情な行動を取り、第4班の「目的のためなら切る」という怖さを象徴する存在。
ランキング97位だが危険度が高い。細菌系能力は対人戦でも対集団戦でも厄介。第4班がランキング以上に怖い理由の一つ。
衝撃波とソナーを使う。第4班の戦闘要員として印象に残る。能力の使い方次第でかなり厄介。
嗅覚・スピード・パワーを持つ。名前が覚えにくいが第4班の主力級として押さえておきたい。
体を透けさせる能力と中国拳法。ランキングは低くても第4班はランキングで判断しない方がいい班の典型。
第2班|狙われる燈とミッシェル
第4班に狙われる存在になる。戦う側でありながら奪われる対象でもあるという二重の立場が、このパートの燈の難しさ。
生存父ドナテロの能力を奪ったパラポネラ型テラフォーマーと向き合う。単なる能力バトルではなく、父の死と向き合う戦い。BUGS2編を知っているかどうかでこの場面の重さが全然違う。
生存ドナテロの因縁第3班|第4班と激突するロシア班
第4班とぶつかる重要人物。劉翊武との戦いでは単純なパワー勝負ではない難しさに直面する。三つ巴の戦況でロシア班の中心を担う。
生存シルヴェスターの義理の息子。アシモフ親子の関係が後でかなり効いてくる。
死亡幻覚系の能力を持つ特殊タイプ。第3班のパワーだけでなくこういう特殊能力持ちがいるから強い。
生存第1班|裏切りを伝えるために動く班
第4班の裏切りによって艦長としての重みがさらに増す。テラフォーマーだけでなく人間側の裏切りにも向き合わなければならない。BUGS2から人間の闇を見てきた男だからこそ、この展開は苦しい。
生存通信を取り戻そうとする流れで重要な戦力になる。モンハナシャコの視力とパンチ力が第1班の中心。
生存電波塔ハッキングの動きに関わる。シーラの死を背負っていることもあり、感情面の重さがある。
生存第6班|不気味なジョセフ
このパートでも不気味さは消えない。味方なのか、別の目的があるのか。ランキング1位なのに安心感より不安感の方が強い。ANNEX1後半から終盤にかけてさらに大きな意味を持ってくる。
生存ANNEX1後半の流れを整理
ここで一度、流れを整理する。
- 地球では火星計画の利権を巡って各国の駆け引きが激化する
- 火星では第4班が燈とミッシェルを狙って動き始める
- 第3班と第4班が衝突し、テラフォーマーも加わって三つ巴になる
- 第4班は危険な能力と非情な選択で任務達成を優先する
- ミッシェルは父ドナテロの能力を奪った弾丸蟻型テラフォーマーと向き合う
- 第1班は第4班の裏切りを地球へ伝えるため、通信回復に動く
個人的には、このあたりから『テラフォーマーズ』は一気に政治色が強くなる印象だ。バトルもある。でも中心にあるのは「人類は本当に一致団結できるのか?」という問いだ。結論から言うと、できていない。火星でテラフォーマーが襲ってきているのに、人間同士で奪い合う。この救いのなさがテラフォーマーズらしい。
- 01BUGS2編 ── 小町小吉・蛭間一郎・ドナテロ・ティン・奈々緒を整理
- 02ANNEX1編 前半 ── 火星帰還から20年後、ANNEX1計画の始動
- 03ANNEX1編 中盤 ── 各班が分断される死闘を整理
- 04ANNEX1編 後半 ── 第4班の裏切り、人間同士の戦い
- 05ANNEX1編 終盤 ── 通信作戦、燈の覚醒、九頭龍の登場
- 06ANNEX1編 最終盤 ── 火星大戦の終結と戦士たちの帰還
- 07地球編突入 ── 地球にすでにテラフォーマーがいた
- 08地球編中盤 ── 日本侵食、神奸達、小吉を巡る戦い
- 0923巻時点の勢力図と未回収の謎
- 10登場人物・強さランキング TOP20(個人考察)
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