テラフォーマーズ、話を忘れたので整理する⑤
ANNEX1編 終盤
前回の後半では、第4班の裏切りが表に出て、ANNEX1編の構図が「火星の戦い」から「利権の戦い」に変わった。燈とミッシェルは追われる存在になり、第3班対第4班の三つ巴が始まった。今回の終盤では、大きく3つのポイントがある。
1つ目は、第4班の裏切りを地球へ伝えようとする通信作戦。2つ目は、ジョセフと第4班側の激突。3つ目は、燈の覚醒と九頭龍の登場、そして地球側の危機の示唆。ここから火星編はさらに混沌としていく。
第1班の通信作戦|裏切りを地球へ伝えられるか
このあたりで重要になるのが通信作戦だ。慶次たちはアネックス1号本艦の通信コントロール室を目指す。目的は第4班の裏切りを地球へ伝えること。これはただの連絡ではない。
第4班が裏切ったこと、燈とミッシェルが狙われていること、火星でANNEX1計画が想定外の状態になっていること。これを地球へ届けられるかどうかで、火星で起きている出来事の意味が変わる。もし地球に届かなければ、第4班の動きは隠される。燈とミッシェルを巡る争いも、各国の都合で処理されるかもしれない。この通信作戦は、火星で起きた真実を外へ出せるかどうかの戦いだ。
戦闘員も非戦闘員も命を懸ける
この通信作戦で印象的なのは、ランキング上位の戦闘員だけが重要なわけではないところだ。通信をつなぐ、扉を開ける、仲間を前に進ませる、情報を外へ届ける。こういう行動が、単純な戦闘力と同じくらい重要になる。強いキャラが敵を倒せば終わり、ではない。生き残っている全員が、何かをつなごうとしている。このあたりがANNEX1終盤の良いところだと思う。
小町小吉の立場がさらに重くなる
このパートで改めて重くなるのが小町小吉だ。BUGS2を生き残った男。火星の地獄を一度見ている男。そして今度はANNEX1の艦長として火星に戻ってきた。テラフォーマーの怖さも知っているし、人間側のきな臭さも知っている。
第4班の裏切り、地球側の利権争い、燈とミッシェルを巡る争奪、通信を巡る戦い。小町は戦闘員としても強いが、この終盤では艦長としての重みがより大きい。BUGS2編を思い出すと、小町はもともと熱くて感情で動く男だった。その男が20年後、全体を背負って判断しなければならない立場にいる。この変化も、ANNEX1編の大きな見どころだ。
小吉たちは燈たちとの合流を目指す
12巻に入ると、小町たちは燈たちとの合流を目指して動く。でも、当然スムーズにはいかない。集合地点を目指す小吉たちの前に、無数のテラフォーマーが現れる。
ANNEX1編はずっと「合流したいのに合流できない」話だ。班が分断される、通信が途切れる、敵が間に入る、裏切りが起きる。上位ランカーがまとまれば相当な戦力のはずなのに、火星ではそれができない。この「合流できないストレス」がANNEX1編の緊張感を作っている。
ジョセフ vs 劉・爆の激突
12巻の大きなポイントが、ジョセフと第4班側の激突だ。ジョセフ・G・ニュートン、マーズ・ランキング1位、M.O.手術不明。そのジョセフが劉翊武と爆致嵐と激突する。
それまでジョセフは、強いのはわかるが何を考えているのかわからないキャラだった。味方なのか、本当に人類側なのか、何を目的としているのか。ランキング1位というだけでずっと不気味だった。そのジョセフが本格的に前に出てくることで、ANNEX1終盤の空気が一気に変わる。ジョセフは強い。でも、ただ強いだけではない。強すぎるから不気味。味方として安心できる強さではなく、「この人が何をするかわからない」という怖さがある。
劉翊武と爆致嵐の役割
ジョセフと激突する第4班側の中心は劉翊武と爆致嵐だ。劉はランキング44位だが対人戦や目的達成能力を考えると侮れない。ヒョウモンダコの毒、触腕、中国拳法、そして第4班を率いる判断力。爆致嵐はランキング50位、チャツボボヤの出芽で増えるという特殊能力。ジョセフは圧倒的な個の強さ、劉と爆は第4班としての目的・毒・特殊能力・戦術。同じ「強い」でも方向がまったく違う対立で、単純なランキング勝負ではないところが面白い。
13巻、膝丸燈の覚醒
そして13巻。ここで大きく動くのが膝丸燈だ。怒りと哀しみの果てに燈が覚醒し、秘められた能力を発動させ、九頭龍からの猛攻に立ち向かう。
燈はずっと、ただの主人公ではなかった。M.O.手術前から普通ではない、BUGS2の過去とつながっている、秋田奈々緒と張明明の存在を背負っている。でもここで「秘められた能力」という形で、燈の特殊性がさらに前に出る。救いたい人を救えなかった、仲間を失う、第4班に狙われる、テラフォーマーに襲われる、九頭龍の猛攻にさらされる。その怒りと哀しみの中での覚醒だ。ただし、明るい覚醒ではない。テラフォーマーズの覚醒は、爽快感よりも痛みが強い。
九頭龍という新たな脅威
13巻から14巻にかけて出てくるのが九頭龍だ。13巻では燈が九頭龍からの猛攻に立ち向かい、14巻では九頭龍に囚われた燈の心まで砕かれようとしている。テラフォーマーだけが敵ではない、第4班だけが問題ではない、さらに大きな勢力、より重い利権、より残酷な状況が出てくる。燈は、肉体的だけでなく精神的にも削られていく。
「継承」された魂が火星の大地に光をもたらす
圧倒的に不利な状況が変わらず、敵が勝利を収めかけた瞬間に、誰も予期しない奇跡が起こる。そして「継承」された魂が火星の大地に光をもたらす。この「継承」という言葉は、ANNEX1編を読むうえでかなり大事だ。
テラフォーマーズって、能力の話に見えて、実はずっと「受け継ぐ話」でもある。BUGS2で死んだ人たちの能力、ドナテロからミッシェルへつながる力、奈々緒と張明明から燈へつながる因縁、アドルフの戦いとエヴァ。火星ではどんどん人が死ぬ。本当に容赦ない。でも、その死が完全に無意味にはならない。誰かの意思や能力や情報が別の誰かにつながっていく。この「継承」があるから、テラフォーマーズはただ救いがないだけの漫画になっていないと思う。
ここから地球側の危機も見えてくる
14巻で大きな転換がある。テラフォーマーはすでに地球にいた、そして火星よりも豊かな海と大地を得た彼らが動き出す。
ここまでの中心は火星だった。火星でどう生き残るか、火星で誰が裏切ったか。でもここで「地球にもいる」となる。火星から帰れば終わりではない。むしろ地球の方がもっと危ないかもしれない。この展開によって物語は火星サバイバルから地球規模の危機へ広がっていく。ANNEX1編終盤は、火星での戦いを整理する回でありながら、地球編への入口でもある。
ANNEX1終盤を「火星脱出前夜」として見るとわかりやすい
この終盤の範囲は、火星脱出が完了する話ではない。むしろ火星から脱出するために必要な状況が少しずつ整っていく手前の段階だ。通信をつなごうとする、仲間と合流しようとする、ジョセフが動く、燈が覚醒する、九頭龍が現れる、地球側にもテラフォーマーの脅威が見えてくる。火星脱出そのものではなく、火星脱出前夜として見るとかなり整理しやすい。
ANNEX1終盤 登場人物まとめ
第1班|通信と合流のために動く班
終盤では燈たちとの合流や、火星で起きている事態への対応を背負う。火星の怖さも人間側の裏も知っているからこそ、艦長としての判断の重みがかなり大きい。
生存通信コントロール室を目指す流れで重要になる。終盤では戦闘力だけで解決できない状況が続くが、それでも頼れる存在。
生存地下での電波塔ハッキング周辺で重要。シーラとの関係を考えると感情面の重さもある。読者が感情移入しやすいキャラの一人。
生存第2班|狙われ、追い詰められ、覚醒する
終盤で完全に中心人物になる。第4班に狙われ、テラフォーマーに襲われ、九頭龍の猛攻にさらされ、そして13巻で覚醒する。戦う主人公でありながら、奪われそうになる存在でもある。
生存覚醒父の因縁を背負いながら戦い続ける。ANNEX1編のミッシェルは、強いだけでなく過去を背負って戦う人物として描かれている。
生存第4班|目的達成の班
ジョセフやアシモフとの対立に関わる。ランキング以上に対人戦・戦術面で厄介な人物。毒と拳法、そして第4班を率いる判断力。
死亡囚われた燈たちを乗せた脱出機がテラフォーマーの大群に急襲され、危機回避のために最悪の行動に出る。第4班の非情さを象徴する存在。
第6班|ジョセフという不穏な頂点
終盤では劉と爆との激突によって存在感がさらに大きくなる。強いのはわかる。でも何を考えているのかわからない。味方の安心感よりも「物語を壊しそう」という不穏さの方が強い。
生存九頭龍側|火星終盤の新たな脅威
13巻以降、燈を追い詰める大きな脅威として登場。14巻では燈を心まで砕こうとする。火星終盤で燈を追い詰める大きな勢力として押さえておくのがわかりやすい。
ANNEX1終盤まとめ
- 慶次たちが通信コントロール室を目指し、第4班の裏切りを地球へ伝えようとする
- 小町たちが燈たちとの合流を目指すが、無数のテラフォーマーが立ちはだかる
- ジョセフが劉と爆と激突し、ランキング1位の不気味な存在感を見せる
- 燈が怒りと哀しみの果てに覚醒し、九頭龍の猛攻に立ち向かう
- ミッシェルは父の因縁を背負いながら戦い続ける
- 地球にはすでにテラフォーマーがいることが示され、物語は火星を超えた規模に広がる
テラフォーマーズはひたすら救いがないように見える漫画だ。でも完全な絶望だけではない。誰かが死ぬ、でもその意思が残る。誰かが倒れる、でも次の誰かが立つ。この継承があるからANNEX1編はただの絶望の連続ではなく、熱さも残る。次は火星編の最終盤へ進む。
- 01BUGS2編 ── 小町小吉・蛭間一郎・ドナテロ・ティン・奈々緒を整理
- 02ANNEX1編 前半 ── 火星帰還から20年後、ANNEX1計画の始動
- 03ANNEX1編 中盤 ── 各班が分断される死闘を整理
- 04ANNEX1編 後半 ── 第4班の裏切り、人間同士の戦い
- 05ANNEX1編 終盤 ── 通信作戦、燈の覚醒、九頭龍の登場
- 06ANNEX1編 最終盤 ── 火星大戦の終結と戦士たちの帰還
- 07地球編突入 ── 地球にすでにテラフォーマーがいた
- 08地球編中盤 ── 日本侵食、神奸達、小吉を巡る戦い
- 0923巻時点の勢力図と未回収の謎
- 10登場人物・強さランキング TOP20(個人考察)
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